FT-ONE 改良又は改造

FT-ONE トランシーバーは完成された無線機ですが 良い部分だけではなく一寸した変更とか改造するとより使い易くなるでしょう。
そこで 既に実施してあるメーカー指示による改造とは別に自分の操作上で気になった箇所を変更改造します。
1.AMの帯域 2.音量調節 3.エレキー実装とモニター音量 4.ガリガリ音解消
1.AM放送受信時の帯域拡大
通信用受信機でも時にはAM波の放送を聞いてみたい事があります。
FT-ONEに限らず大抵の無線機ではWIDTHコントロール機能が設置してあり中間周波増幅段の帯域を変化(狭く)する事が出来ます。
広げる事は出来ません。当たり前ですが。
本機ではWIDTHコントロールを操作した後にAMにした時にアレッとなる事があります、AMでもWIDTHが有効だからですが。
機種にもよりますがAMのフィルターを装備していても同様で標準の6kHz程度ではAM放送を気持ちよく聞けません。10kHz以上欲を言えば20kHz位ほしいところです。
これを解消するには回路変更するか WIDTH回路をバイパスするか 等の改造が必要です。 今回は最も簡単な改造です。
即ちAMフィルターの代わりに直結するか 簡単な抵抗減衰回路を挿入するか 結局帯域制限しないアッテネータ方式としました。
抵抗値は10.7MHz段に入っている回路定数をそのまま採用しました。
AMフィルターの代わりに抵抗減衰器を
抵抗値は左右がそれぞれ180Ω 真ん中が430Ω2個シリーズのT型です。
こうすると帯域幅は前段にある20kHzフィルターのみですから広帯域となり後ろにはアンプ部の帯域が続きます。
この部分を有効にする為にはすぐ下にあるジャンパーを下側のJ06から隣(すぐ上)J05へ差し替えます。
尚 画像に写っているフィルターは上側のがCW(M)用 下側がSSBです。
この改造でAM波受信時の広帯域化が実現し WIDTHは効かないか 効いても極く僅かしか変化しない状況になりました。
とは言っても検波段にHP/LPフィルターが挿入してありますから結局はそんなにHiFiにはなりませんが。

尚 後日こおの部分はAMのクリスタルフィルターを入手し換装しましたのでオリジナル状態に戻しました
2.低周波増幅段の音量調節
メーカー出荷時にヘッドフォーン回路に簡単なアッテネータが挿入してありますがスピーカーでもヘッドフォーンの場合でも音量調節のツマミは殆ど絞り切った状態で使わなけれならない位で しかも クリチカル操作が必要でAFユニット内で定数を一部変更しました。


AFユニット内の改造箇所です。
Q28 uPC2002Hの三個の入力信号の一つ ボードピン30番が検波後の低周波信号の入力部分でR107 4.7kΩを撤去し 代わり50kΩの可変抵抗器を接続しレベルを下げると同時に音量調節のVRをもう少し上げて使いやすくし効き方を緩やかになる様にしました。
その他の二つの入力信号とはCWのトーン信号とマイクのモニター信号です。

この改造で音量調節のツマミを右回し一杯にしても耳が壊れることはありません。









取り付けた50kΩの可変抵抗器の在り処です。

放熱器の近くにある黄色い部品がそのポットです。
しかも空中配線で処理しました。
3.エレキー実装とモニター音量
エレキーはオプション扱いでFT-901シリーズのエレキーを指定されています。実際にFT-901に内蔵されていた物を借用しました。
マニュアルに取り付け方が記述してありますので作業は極めて簡単です。
即ち エレキーをAFユニットのほぼ真ん中に裏返して・・・と記述してあります。
尚 エレキーを使用する場合は背面にある二つのキージャックの下側にあるKEY 2にパドルを接続する事になっています。
エレキー実装の位置を示す画像です。
AFユニットのほぼ真ん中に見える長方形の緑色の基板がカーティスの8044使用のエレキーユニットです。
指定された基板を 指定された位置に 指定され方向に取り付けました。
キーヤーの速度調節のツマミはパネル面左下にあり定数は500kΩです。
VRの中央付近で丁度頃合いの速度になりました。
さて キーヤーを接続して使用してみるとオリジナルの設定ではモニターの音量が大き過ぎて耳が壊れそうです。
内部に調節箇所がありますがこのままでは絞り切れません。そこで信号経路に約100kΩを接続して適当な音量になる様にしました。
CWのモニター音量調整
Q28 PC2002Hの入力ピン1には三つの信号が加わっていてその二番目にCW時のモニター信号が印加されています。
そこでこのラインに抵抗を直f列にいれて丁度良い音量に調節しました。
左側にある68kΩ+47kΩの二つの抵抗がそれです。

FT-ONEのユニットはどれを観察しても部品類の取り付けに余裕があり保守調整がやり易いです。
トーン音量調節の抵抗取り付け位置です。
左上にあるQ26の直ぐ右側 1/4Wの抵抗が二個あります。
その直ぐ上にあるのが内部で調節する為の半固定VRです。
絞り切れないのでこんな事をやっている訳です。

尚 FT-ONEではトーンのピッチを調節可能で そのVRがあるのは放熱器の左方向にあるC58の文字の直ぐ近くです。

サイドトーンのピッチ(周波数)は時として重要な武器となり得るものです。
珍局と受信している他の局を捕らえこの状態でキーダウンして発生するサイドトーンのピッチがその他局と同じになる様に同調操作すると 送信して珍局を呼ぶ時にオンフレで呼べる事になる という使い方が英文のマニュアルにあります。(P26)
この事は読み込んで初めて知り得る情報でした。